乳がんケアヨガの今

【新倉】 の記事

ヨガはストレッチよりも乳癌術後患者において生活の質を改善する

新倉先生のブログより

http://auramaster.blogspot.jp/2014/03/blog-post.html

(下記、上記リンクより引用)

やっとパブリッシュされましたね
このデータをMDA留学中にカンファレンスで聞いたのが4年前の2010年
ヨガは乳癌サバイバーに必要だと確信しました。

ヨガ雑誌の企画として、この論文の責任者であるMDA代替医療学講座教授の
Cohen先生とも対談し、いろいろ教えていただきました。
現在Phase3が進行中ですので、結果を楽しみにしています

Phase3の結果はNJMかLANCETに載ってほしいなー
そしたら世の中変わるかも

論文
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24590636

様々なメディアでも取り上げられています

ABC News
http://abcnews.go.com/blogs/health/2014/03/04/how-yoga-can-help-women-with-breast-cancer/

Huffington Post
http://www.huffingtonpost.com/2014/03/03/yoga-breast-cancer-mind-body-stress-quality-of-life_n_4891286.html

Health Day
http://consumer.healthday.com/cancer-information-5/breast-cancer-news-94/yoga-helps-breast-cancer-patients-during-radiation-therapy-685441.html

乳がん患者さんがヨガをやる上での注意点

インストラクターの方から、乳がんの患者さんが来られるとどのようなことに注意をしてヨガを教えればいいかが分からないというご意見をいただきました。

乳がんを患った女性がヨガのクラスに来られたとき、一番大切なのはその教室で暖かく迎えてあげることです。化学療法中、もしくは化学療法が終わったばかりで髪の毛がまだ生えていないかもしれません。乳房が摘出されて外見を気にされているかもしれません。そのような女性に対して、周りの女性が陰でこそこそと噂をしたらどうなるでしょうか。周りの人は悪気がなくても、治療中の女性は心無い視線を感じていらっしゃるかもしれません。その女性は乳がんを患ってストレスを抱えているのに、さらにヨガのクラスでもストレスを抱えてしまうかもしれません。アメリカ人のあいだでは癌サバイバーは勲章のようなもので、皆誇らしげに自分は癌を克服したんだと言います。だから癌を患った人がヨガのクラスに来ても、クラスの始めに癌サバイバー、もしくは闘病中であることを紹介され、皆で拍手して迎えます。そしてクラス全体で応援するのです。日本人は自分が癌であることを職場にも仲間にも隠そうとする傾向があります。しかし自分や家族の間だけで悩んでいても仕方がありません。日本人の性格からして難しいかもしれませんが、日本でもまずはヨガのクラスからだけでも癌のサバイバーや治療中の人たちを応援できる仕組みを作っていくことが大切です。

乳がん患者さんといっても状態によって様々です。
手術、化学療法、放射線治療も終わっていればホルモン治療を受けていても、基本的には一般の人と同じと考えていいです。この状態の患者さんは基本的にはやってはいけないことはありません。ハードなヨガでも運動でも制限はありません。
1つ注意しなければいけないことは、再発の可能性があるということです。乳がんは他の癌に比べると再発はしにくく、予後の良い癌ですが、初回時の腫瘍の大きさ、リンパ節転移への状態で、再発のしやすさは変わります。再発を疑う症状として骨転移による痛み、肺転移、胸膜転移による息苦しさ、息切れ、脳転移による頭痛などがあります。乳がん術後でヨガをしている人でこのような症状がある場合は速やかに病院で検査してもらい、異常がなければヨガを再開することをお勧めします。

乳がんの治療中で化学療法中に関しては1つ論文があり、化学療法による吐き気や嘔吐を減らし、不安を軽減したという報告があります。しかし症例数の少ない研究であり、現在の科学的根拠では化学療法中の患者さんに積極的にヨガを勧めることはできませんが、患者さんの体調に合わせ、無理をしない程度であればヨガをすることは問題ありません。

乳がんの術後は患側の胸を開くようなヨガのポーズでなければ、手術翌日から再開してもかまいません。胸を開くようなポーズは傷の状態を見て医者と相談しながらヨガを開始することをお勧めします。

放射線治療中に関しては今まで行われた多くの研究でヨガをすることで患者さんの不安を取り除いたり、睡眠を改善したり、生活の質を上げることが報告されています。化学療法中の場合と同様に積極的にヨガを勧めることはまだできませんが、副作用が増強することがないことは証明されていますので、ヨガをすることは問題ありません。

最後に再発患者さんの場合です。
再発患者さんの中でも骨に転移が認められる人には注意が必要です、特に溶骨性の骨転移の場合は骨折しやすく、ヨガの最中に骨が折れてしまう可能性もあります。
骨に転移のある患者さんは医者にヨガをしていいか相談するか、体への負担の少ないヨガをした方がいいでしょう。その他の部位への転移でも様々状態があるので、再発患者さんの場合はヨガをする前に医者に相談した方がいいでしょう。

何度も繰り返しますが乳がんにおけるヨガの役割は癌を治すことではなく、精神の状態や生活の質を上げて、乳がんの治療を前向きに受ける状態を維持することです。患者さんによっては乳がんに罹ったことで自分の生活や体のことを考えるようになり、乳がんになる前より体が健康になったと言われる非常に前向きな方もいらっしゃいます。そのような患者さんがヨガの普及によって1人でも多くなってくれればと願っております。

乳がんとヨガ ~Q&A~

Q1, ヨガをすることで乳がんを予防できるか?
A, ヨガをすることで乳がんを予防できるという科学的根拠はありません。
この質問に答えられる研究が行われていないため、わからないというのが現状です。
しかし、最近乳がんが日本で増えてきたのは欧米型の食生活が原因とも言われておりますし、肥満もリスクファクターになります。なのでヨガをしている人はどちらかというと、野菜中心の食生活で肥満の方は少ないと考えられるので、乳がんにかかるリスクは一般の方に比べて少ないかもしれません。

Q2, ヨガで乳がんの再発を減らせるか?
A, この質問もQ1と同様に科学的根拠はなく分からないというのが答えです。
よくヨガをすることで免疫力を高め再発を予防するという記事を見かけますが、ヨガが免疫力を上げるという科学的根拠は今のところ確立されていません。しかし報告例はあります。大切なポイントは、医学的には免疫力を上げても再発は予防できないという点です。これは多くの研究で証明されています。
最近はヨガをすることで癌に対する術後の化学療法やホルモン治療の副作用をどのように軽減できるかという研究が行われております。副作用を軽減することで、治療へ前向きになり、治療を中止する患者さんが少なくなれば、再発率を減らすことができるかもしれません。しかし科学的に立証されていません。

Q3, ヨガで再発乳がんの生存期間を延長できるか?
A, この質問もQ2と同様に科学的根拠はなく分からないというのが答えです。
再発患者さんが免疫力をあげても、生存期間を延長させることはできません。これも多くの研究で証明されています。Q2と同様にヨガをすることで乳がんの治療に対して前向きになり、治療の中止する患者さんが少なくなれば、生存期間が延長するかもしれません。

Q4, ヨガで乳がんの治療後に生活の質(QOL)を改善できるか?
A, ヨガをすることで術後の不眠、生活の質(QOL)が改善するという研究報告があります。しかし今まで行われた研究は患者数が少なく、確実に科学的根拠があるとは言えません。現在進行している臨床試験の結果が待たれます。しかし現在進行している研究は海外での研究であり、日本でも臨床試験をする必要があります。

Q5, ヨガでホットフラッシュ(更年期障害によるのぼせ、ほてり)を改善できるか?
A, ホットフラッシュは更年期障害だけでなく、乳がんの術後のホルモン療法の副作用としても起こります。時にはホットフラッシュが原因で治療を中止することもあります。ヨガでホットフラッシュが改善できるか、という探索的な研究があり、効果が認められています。しかしまだまだ研究段階であり、科学的に立証されたとはいえません。

以上よりヨガが乳がんの腫瘍に直接作用する(予防、再発予防、生存期間の延長)という効果は現在、科学的根拠は認められておりません。乳がんによって引き起こされる、生活の質の低下、不眠、ストレスなどを和らげる効果が認められるとの研究がある、と言及するに留まります。
乳がんの治療の第一選択は西洋医療です。しかし西洋医学は乳がんを根治させるために、検査、手術、副作用の強い化学療法を用います。20年前に比べ使う薬の種類も量も増え、患者さんは強いストレスにさらされています。それをヨガによって緩和し、精神安定剤、睡眠薬の使用を減らせるかもしれません。治療に前向きになることで、化学療法やホルモン治療の中断を少なくし。もしかしたらそれによって生存期間の延長という結果が出る可能性もあるかもしれません。

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